論理思考 その4「何を回答すればよいのか」

 与えられたテーマ・課題に対して、自分の考えを持つことは大切です。ただし、自分の考えたことを「すべて・そのまま」答えることは評価につながりません。小論文・レポートで求められるのは、自分の考えたことの中から「与えられたテーマ・課題に対する考え」を回答することです。


1,評価の低いレポートによくあるパターン
⑴「論理」まで達していない答案には、高い評価はつきません。以下、例示します。
 ①C評価 課題に対する回答が明示されていない
 ②C評価 主張・結論は読み取れるが、その根拠・理由がない
 ③B評価 主張に対する「原因・理由」は読み取れる。
       ・つまり「因果関係」は成立している。しかし「根拠」がない。
 ④B評価 主張に対する「理由・根拠」まで読み取れる。
       ・ただし、根拠の客観性・具体性が弱い(一般論・推測など)


⑵高い評価になる答案とは
 ①A評価 主張に対する「根拠・理由」まで読み取れる
       ・かつ、根拠の具体性・客観性が高い
 ②A評価 「主張・根拠・理由」に加え「方法」まで明示されている
     
2,主張、根拠・理由、方法とは
⑴B評価に対するコメント
 B評価の人は、理由までは示してあるわけです。ただし、理由の理由=根拠が示されていないのです。つまり、因果関係は成立していますが、「論理性・論理思考」までは達していないのです。このパターンには、以下のようにコメントします・
 「根拠と理由とはワンセットで書いてください」


⑵方法とは?
 たとえば、「マネジメント」をテーマとするレポートだとしましょう。
 この場合、3つの要素を満たすことで「論理性・論理思考」と評価されます。
 ①主張・結論 テーマに対するあなたの考え
        ・重要なのは、テーマ・課題(論点)への回答となっていること。
 ②根拠・理由 主張・結論に至った根拠・理由。
        ・重要なのは、主張・結論について読み手を納得させられること
 ③方法    主張・結論で提示したマネジメントを実現する方法
        ・重要なのは、相手がその方法を理解・実践できること
        ・方法が、具体的に提示されていること


⑶マネジメント上の課題として、ボトムアップの体制が必要と主張した場合
 トップダウンのデメリットが大きいという課題を提示し、その回答として「ボトムアップ」を主張した場合です。
 この場合、「どのようにボトムアップの体制を作るか、組織に新しい風を吹かせられるか」が論点となります。そして、「解決の方法」を考えます。そして「解決の方法」を実践してください。
 「解決の方法」を提示して終わりでは、「仮説・机上の空論」に過ぎません。
 「解決の方法」を実践し、その有効性・効果、課題・改善点の検証まで示してください。
 「思いついた方法、一般的な方法論」を述べて終えるのはありません。小論文・レポートを書く前に、「方法」を実践・検証し、課題解決に有効という根拠まで提示するのです。
 この時、はじめて「具体的な実践に基づいた考察」という評価が与えられます。
 つまり、「高い論理性を示した文章」と評価されるのです。


3,本日のまとめ
 評価の高い小論文・レポートとは
 ①テーマ・課題に対する回答が明示されている
 ②根拠と理由とがセットになっており、読み手の納得感を導く
 ③解決の方法が明示されている。
 ④解決の方法は、実践を経て、その効果・課題などの検証もされている
 ⑤解決の方法は具体的に示されており、読み手も理解して実践できる内容である