評価されない小論文・レポートのパターン(コラム3)

 「コラム2」では、「論理思考の観点」から、評価されない小論文・レポートのパターンを述べました。
 今回も、「論理思考の観点」から、もう一つの評価されない小論文・レポートのパターンを述べます。


1,説明・考察に「ずれ」がある
 論点がずれている文章は意外と多いです。しかし、その「ずれ」に本人が気づいていないのです。たとえば、「医師の資質について述べよ」というテーマに対し、「日本医療の問題点、特に医療費の増大について」という論点を設定し、これについて述べるパターンです。
 また、研修レポートでは、「自社の課題をついて述べよ」というテーマに対し、「日本の少子高齢化」という論点を設定するパターンもあります。
 課題を絞り込む過程で、論点がずれてしまったのです。
 ただ、本人の中では、以下のように考えられているようです。
 医師の資質の一つに、「日本の医療費増大という課題を解決すること」がある
 この考えのずれがどこにあるか。
 医療費に関する課題解決は医師の「役割」に含まれます。しかし、「資質」ではありません。このずれが致命傷になります。


 同様に、「日本の少子高齢化」が、「現場の人手不足」という自社の課題の原因であるという主張もあります。本人の中ではつながっているのです。
 しかし、現場の人手不足の解決は「採用」「業務の合理化」で進めるものではないでしょうか。もし、「日本の少子高齢化」を論点とするならば、少子化の解決・高齢化社会の問題解決についての考察を示すレポートになるはずです。


2,説明・考察に「漏れ」がある
 ここまで述べてきた例でいえば、以下のパターンです
 ①「実践・検証」がない(仮説のまま)
 ②「判断の基準」が示されていない(客観性の不足)
 ③「メリット・デメリット」の考察・整理がない(リスクの検証がない)
 このような小論文・レポートで、相手を納得させること、高い評価を得ることは難しいです。一つの漏れで、すべてが失われるのです。


3,説明・考察に「重複」がある
 たとえば、3つの提案が示されているとします。
 しかし、3つをよく読むと、「A案とC案とは同じことを言葉を換えて表現しているだけ」「A案はC案を反転させただけ」ということはよくあります。
 これは、書き手の頭の混乱を示しています。
 3つの提案をするならば、「3つの切り口」が示されるはずです。しかし、A案とC案とは「同じ切り口」ということです。これは、信憑性・信頼性を損なうといえるでしょう。


4,本日のまとめ
 説明・考察に以下のような問題があると、それだけでC評価になる
 ①「ずれ」(論点が適切に設定されていない)
 ②「漏れ」(一つでも読み手に指摘されると、すべてが否定される)
 ③「重複」(考察の混乱が伝わるため、すべての信頼・信憑性が損なわれる)