論理思考 その7「課題とは何か」

 「論理思考その6」で、「論点を設定する」「問いを繰り返すことで課題を明確にする」ことを述べました。
 今回は、「課題」について、もう少し述べます。


1,課題とは何か
 問いを繰り返すことで、課題をあぶり出します。
 課題を突き詰めていくと、ジレンマが現れる場合があります。


 ジレンマとは(ウィキペディアより引用)

⑴ある問題に対して2つの選択肢が存在し、そのどちらを選んでも何らかの不利益があり、態度を決めかねる状態。葛藤。


⑵哲学や議論、修辞学の分野において前提を受け入れると2つの選択肢の導く結論がともに受け入れがたいものになることを示す論法。

日本語では両刀論法ともいう。


 医療には「QOL」という考え方があります。「生命の質」ですね。
 たとえば、完治が難しい病気になった時、本人に伝えるか、伝えないかという選択が生じます。伝える(余命宣告する)場合、「少しでも長く生きるための治療を継続するか」「病や治療による苦痛を緩和するためのケアを優先するか」という選択が生じます。
 この時、本人にも、その家族にも、ジレンマが生じます。
 「入院して治療を継続するか」「自宅で自分らしい暮らしをするか」です。


 マネジメントでは、たとえば「トップダウンか」「ボトムアップか」という選択もあります。リーダーについての考えでも「従来型のリーダーシップか」「ファシリテーション型か」という選択があります。


 つまり、「課題」は、ジレンマが明確になるまで掘り下げるということです。
 課題に内在する「二律背反」「二項対立」「逆説」「矛盾」を言語化するのです。


2、課題が明確になったら
 たとえば、「AかBか」まで課題の焦点を絞れたとしましょう。
 その時、AもBも「正解」であるはずです。これが俗にいう「正解はない」ということです。どちらも正解なのです。この時、解決への考察は2つの方向があります。
⑴「AかBか」から選択する
 これは、課題とその背景などから判断することになります。
 その際、重要なのは二つです。
 ①それぞれのメリット・デメリットを考察・整理すること
 ②判断の基準を示すこと

 判断の基準を示すことは、「論理思考 その6」でも述べました。


⑵「AかBか」をこえた「C案」を提示する
 弁証法的発想です。
 AかBかではなく、それをこえた(止揚・アウフヘーベン)したC案を提示することです。評価する立場から言えば、これがA評価になります。
 C案の基本は、「弱みを強みにする」という発想です。
 
3、本日のまとめ
 ①問いを繰り返すことで課題を明確にする
 ②課題に内在する「ジレンマ(二律背反)」を言語化することがA評価への道
 ③課題に対する解決は、判断の基準を示したうえでの二者択一が一つ。
 ④課題に対する解決は、弁証法的な発想からのC案がA評価への道
 ⑤弱みを強みにする発想を日常から意識すること